ヘンデルのカンタータ  歌詞の意味を考える

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zoom RSS 「大切な可愛いフィッリ」

<<   作成日時 : 2016/07/31 13:00   >>

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先日の相模原市のテロ事件については驚愕と怒りで言葉もありません。
亡くなられた方々に対し哀悼の意を捧げますとともに、負傷された方々が一日も早く回復されますようお祈りしています。



今回も残念ながら音源がございません。


「大切な可愛いフィッリ」(Filli adorata e cara)HWV114


ソプラノ用のコンティヌオ・カンタータで、レチタティーヴォ→アリア→レチタティーヴォ→アリア という標準的な楽章構成です。
ローマのルスポリ侯爵邸に残っていた写譜屋さんへの支払い記録に、1709年8月の日付けでこの作品のタイトルがあるのですが、実際に作曲されたのはもっと前で、1707年の春頃ではないか、とされています。作詞者の名は伝わっていません。


歌詞大意
画像


熱愛するフィッリと遠く離れて暮らすことを余儀なくされた若い男性の悲しい歌。
その別離の辛さは、川を見ても、花を見ても、岩山を見ても、すなわち周囲にあるものすべてを見るにつけて悲しみが湧いてくる、というほどの強いものです。
そんなことは愛の神(キューピッド)もとっくに承知しているはずなのに、何の手も打たず知らん顔とは、それで職務が務まるのか、と文句も言っています。

この「別離の悲しみ」というものはカンタータの重要なテーマのひとつです。
以前に取り上げた作品HWV77も同様に別離が主題となっていて、やはりキューピッドに責任があるのだ、と苦情を言っているところまで同じですね。別れさせられている相手はクローリで、こちらのフィッリとは異なっていますが。

HWV77の記事では「別離」というものを分類しています。すなわち、

1.物理的に離れた場所にいるので会えない
2.修道院へ入ってしまって俗界へ出てこないので会えない
3.家族によって隔離されてしまって会えない
4.死別

の四つです。
本作品のケースはどれにあたるのでしょうか。

昔は交通の便が悪かったので、少し離れただけでずいぶん遠いように思えたのでしょう。現在なら飛行機で1時間というところはもとより、電車で1時間のところでもそうおいそれとは行けなかった距離だったと思われます。
それでも粘り強く行動すれば、1.や3.の場合は思いをとげる可能性を残しています。

2.または4.の時は主人公も絶望的にならざるをえないのでしょう。本作品の歌詞がどちらのケースなのか判定は困難ですが、いずれにせよ辛い状況にかわりはありません。


画像

フランドルの画家 Hans MEMLING(1440-1494)の作品「Portrait of a Young Man at Prayer」
ちょっとうつろな表情がこの歌詞の主人公を思わせます。



参考資料
書籍
Ellen T. Harris「Handel as Orpheus」Harvard University Press(2001)











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