この日は朝からバルベリーニ宮の美術館へ。
この美術館の正式名称は Galleria Nazionale d'Arte Antica in Palazzo Barberini というそうで、「バルベリーニ宮の国立古典美術館」とでも訳するのでしょうか。
ホテルからテレテレ歩いて行ってもたいして時間はかかりません。先日入場したドーリア・パンフィーリ美術館の前を通って、30分くらいか。

バルベリーニ宮の入口
入ってすぐのところに切符売り場があり、入場券(7ユーロ/人)を買うとバッグなど手荷物はロッカーに入れます。写真は例によって三脚とフラッシュさえ使用しなければOK。下の画像で正面を右に入るとロッカーがある。


バルベリーニ宮の入場券 上:表 下:裏
先日訪問した三つの美術館と同様、ここも入場者はまばらでゆっくり落ち着いて絵を見ることができるのはありがたい。

piano terra(1階)の展示室。館内はこんなふうにお客さんの数もチラホラ (ISO感度200 f2.8 1/15秒 ホワイトバランス:電球)
展示作品は13世紀から18世紀までのもの。 館内はpiano terra、primo piano、secondo piano(日本風に言うと、1階 2階 3階)に分かれていて下の階から上の階に進むにつれて作品が古い年代から新しい年代のものになっています。

フィリッポ・リッピ「受胎告知とふたりの献金者」(ISO感度200 f2.8 1/13秒 ホワイトバランス:電球)
これは不思議な絵です。受胎告知に第三者が立ち会うってことがあるのですかね。献金したらかぶりつきの指定席で観覧できるのか。

ラファエロ「フォルナリーナ」(ISO感度200 f2.8 1/30秒 ホワイトバランス:電球)
当館の看板作品のひとつとされているだけあって、大変魅力的な絵画です。
「フォルナリーナ」とは「パン屋の娘」くらいの意味らしいですが、ラファエロの恋人であった人だと言われます。だけどラファエロはパトロンから、その親戚の娘との結婚を勧められて婚約してしまうのですね。出世のために恋を壊してしまう、などよくある話ではありますが、上半身とは言えヌードを描かせるほどの信頼を裏切るとは。ラファエロもひどい奴です。
それにしても当時、こんな絵を描いてとがめられなかったのか。女性のヌードは神話の登場人物である女神などを描く場合に限ってOKで、一般の女性ではいけないとされていたはずです。この絵は完成しても隠し持っていたのでしょうか。

ティツィアーノ「ヴィーナスとアドニス」 (ISO感度200 f2.8 1/5秒 ホワイトバランス:電球)
この作品はギリシャ神話のエピソードがテーマになっています。
狩に出かけるアドニスを、彼を愛するヴィーナスが必死に止めようとしているところ。ヴィーナスは何か悪い予感がしたのでしょう。
その後の展開は、案の定アドニスが突っかかってきた猪の牙に刺されて死んでしまうということに。
アドニスの血が流れた地面に悲しんだヴィーナスの涙が落ちて、そこに赤いアネモネの花が咲いた、と言います。
ティツィアーノは同じタイトル「ヴィーナスとアドニス」でもう1枚描いています。ほとんどこれと同じ構図で、ちがいはアドニスが帽子をかぶっていないことくらい。こちらはマドリードのプラド美術館にあるらしいです。
この写真は若干手ぶれになってしまいました。シャッタースピードが1/5秒なのでしょうがないですね。
美術館での撮影も4軒目になるとだいぶ慣れてきて、露出時間がそこそこ長くても何とか見られる写真が撮れるようになってきました。後にはもっと長い0.77秒というのも出てきますが、そんなにひどくないです。
使用したカメラは古い型のものですが、普通の液晶モニターからファインダー式のモニターにも切り替えられるので、額にカメラを押し付けるようにして固定することができます。そのため露出時間がある程度長くなっても手ぶれを最小限に抑えるコツのようなものもわかってきたのです。

一番左 ハンス・ホルバイン「ヘンリーⅧ世の肖像」(ISO感度200 f2.8 1/10秒 ホワイトバランス:電球)

エル・グレコ 左「キリストの洗礼」 右「牧者の礼拝」(ISO感度200 f2.8 1/15秒 ホワイトバランス:電球)

グイド・レーニ「ベアトリーチェ・チェンチの肖像」(ISO感度200 f2.8 1/8秒 ホワイトバランス:電球)

primo piano(2階)にある一室の天井画 ピエロ・ダ・コルトーナ「神の摂理の勝利」(ISO感度200 f2.8 1/13秒 ホワイトバランス:電球)

ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ「サチュロスとアモール小僧」(ISO感度200 f2.8 1/13秒 ホワイトバランス:電球)

カラヴァッジョ「ナルシッサス」(ISO感度200 f2.8 0.77秒 ホワイトバランス:電球)
これもギリシャ神話のエピソードが題材です。
美少年のナルシッサスは泉の水辺に映ったわが姿に恋をしますが、手を伸ばすと水面が乱れて姿が消えてしまう。どうしても手が届かないので焦り、衰弱してとうとう水仙の花になってしまったというお話。だから水仙のことをナルシッサスというのですね。ナルチシズムの語源でもあります。

ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ 左「教皇ウルバーノⅧ世の肖像」 右「ダヴィデ」(ISO感度200 f2.8 1/15秒 ホワイトバランス:曇天)
ベルニーニは彫刻家として高名ですが、もちろん絵も描いたのです。
左の肖像画のウルバーノⅧ世はバルベリーニ家出身の教皇です。そもそもこのパラッツォ・バルベリーニは、この方の指示で1627年に建設に着手したのだそうです。
右の絵の「ダヴィデ」は、ご存知旧約聖書にあるエピソードの英雄ですね。
この美術館には先ほどのラファエロの他にも看板作品というか目玉があります。
カラヴァッジョ作の「ユーディットとホロフェルネス」です。ところが、

(ISO感度200 f3.2 1/10秒 ホワイトバランス:電球)
というわけで、館外の展覧会に貸出中でした、残念。
表示をよく見ると貸し出した展示は10月4日まででもう終わっているはず、今日は6日なのになぜ戻ってない?
展示場所はイッレッジョIlleggio とあります。帰国後、イッレッジョとはどこかと調べてみたら、ヴェネツィアの北の方のとんでもないところ。こんな遠隔地では2日や3日では戻ってきませんね、納得。
どんな絵か、ウェブサイトにあったものを掲出しておきます。
この絵は旧約聖書のエピソードが題材です。
イスラエルの町に侵略してきた敵の大将ホロフェルネスに色仕掛けで近づいた寡婦ユーディットが、大将の寝ている間に首を切り取ってしまって侵略を防ぎ、伝説の女になったというものです。

secondo piano(3階)の展示室(ISO感度200 f2.8 1/15秒 ホワイトバランス:電球)
3階の壁や天井には装飾がなく、殺風景です。上層階は階段を上がり下がりするのが大変なので(エレヴェーターなどない時代)、おそらくこのフロアは召使や料理人など使用人の居住区だったのではないかと思われます。
下手な写真でいろいろお見せしましたが、他にも有名な画家の作品が陳列されていました。
アンドレア・デル・サルトAndrea del Sarto、カナレットCanaletto、ニコラ・プッサンNicolas Poussin、ジャコポ・ティントレットJacopo Tintoretto などなど。
こんなにすごいアーティスト達の作品をほとんどひとり占めできるような環境で、ゆっくり楽しめて幸せでした。ドーリア・パンフィーリ美術館もたいしたものでしたが、ここはそれを上回る素晴らしさです。入場料も7ユーロと安いし。
このお屋敷はガーデンも美しいらしいので、ちょっと覗いてみたかったのですが、入口がわからなかった。どうも工事中だったらしい。
(続く)

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