ヘンデルのカンタータ  歌詞の意味を考える

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zoom RSS 「キューピッドとふしだらなクローリが」の音源

<<   作成日時 : 2016/09/30 20:11   >>

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表題の「キューピッドとふしだらなクローリが」(Poiché giurano Amore e Clori infida)HWV148 を収録したCDが最近発売されたので、さっそく買い入れて聴いてみました。

「HANDEL IN ITALY, VOL.2」と題したディスク。
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これでは収録されている曲目が読めないので、もっと大きい画像を貼っておきます。画像をクリックして出た画像をもう一度クリックすると、字が読めるくらいの大きなものになります。
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ブリジット・カニンガム指揮のロンドン・アーリー・オペラというグループが演奏していて、このカンタータの歌唱担当はソプラノのメアリー・ベヴァンです。トラックナンバー5〜8が該当、演奏時間は10分46秒。
このCDはつい先日発売されたばかりですが、挿入されているブックレットを見ると、録音は2013年。この作品(HWV148)は世界初録音、とも書かれています。

歌詞はこちらの記事にありますが、もう一度歌詞だけ掲げておきます。
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最初のレチタティーヴォは、キューピッドによって、クローリに恋させられたあげく失恋しているのに、全然責任とってくれない、と怒り悲しんでいる内容です。だから「キューピッドとふしだらなクローリが」で始まるのですね。あまりにも辛くて大声で叫んだので鳥や獣たちも怖がって逃げてしまって、ひとりで岩に向かって悲しみを語っている、という15行ワンセンテンスの歌詞。曲調は悲しみのレチタティーヴォというところです。

次のアリアは、岩(大理石)ならミケランジェロなどの名匠によって像に刻まれ後世に残る・・・、と歌います。それにひきかえこの俺はひどいものだ、いうものです。A-B-AのB部分(歌詞の行頭を下げている部分)でも曲調は変わらず、初めから終わりまで羨望の曲だといえます。

第3曲のレチタティーヴォは、後は死ぬしかない、と語っています。こう悲しいのならもう死んだ方がいい、という諦めの気持ちが強くなっているのです。このレチタティーヴォは淋しい気持ちが表現されている。

終曲アリアの歌詞の骨子は、死でさえもキューピッド+クローリ連合軍と見習おうとしているので、死のうとしても簡単には行かず酷いものになる、という感じ。
テンポはかなり速いものの旋律が短調なので、明るい曲ではありません。怒りの気持ちが込められたアリアです。
演奏を事前に聴くことができて、この気持ちがわかっていれば、日本語表現にもう少し工夫ができたかもしれません。演奏も聴かずに解釈しようとするのは、やはり限界があるのか。

それにしてもこの歌詞は、主人公がクローリという女性に恋してそれが報われなかったところからスタートしているわけですが、勝手なものですね。
悲しがったり、うらやましがったり、淋しがったり、怒ったり、と一人芝居を演じているかのようです。クローリは、そんなこと全く知りませんでした、と思っていることもありえます。
この主人公はどうも自意識カジョーなヤツであるような気がして好きになれません。
しかし考えてみると、このように好きになれないと思わせるようなキャラクターをうまく創造した作詞者(名前不詳)はなかなか大したものではないか。

このCDのブックレットには原語歌詞(イタリア語)に対する英訳があり、ブリジット・カニンガムさんが2016年に訳した、とあります。ところがこの英訳歌詞、下記参考資料にあげた本にあるハリス女史の英訳ほぼそのままなのです。
異なるところは、第1曲4行目「serra」の訳「clamped」が「tightened」に、第2曲6行目「valore」の訳「valor」が「valour」に、第3曲2行目「sarò・・・sempre」の訳「be always」が「always be」に、終曲2行目「duol」の訳「sadness」が「sorrow」にそれぞれ変わっているだけ。他は一字一句違いはありません。
これはちょっとまずいのではないでしょうか。ハリスさんの名前をクレジットするべきでは。




参考資料

CD
メアリー・ベヴァン(ソプラノ)、 ブリジット・カニンガム(指揮)ロンドン・アーリー・オペラ
「HANDEL IN ITALY VOL.2」 SIGNUM CLASSICS(2013)

書籍
ELLEN T. HARRIS「Handel as Orpheus」HARVARD UNIV. PRESS(2001)





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