ヘンデルのカンタータ  歌詞の意味を考える

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zoom RSS 「結局お前は行ってしまうのか、私の命よ」

<<   作成日時 : 2016/04/12 16:27   >>

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この作品は音源を持っていなかったのですが、最近になってYou Tubeに載っているのを見つけました。
ソプラノ用のコンティヌオ・カンタータです。

「結局お前は行ってしまうのか、私の命よ」(E partirai, mia vita?)HWV111a

1707年にローマで作曲された、とされています。一部にハノーファーで作曲、という説もあるようですが、エレン・T・ハリス女史によると、自筆譜に使用された用紙の研究から1707年のローマ、と考えるのが妥当なのだそうです。
また1714〜1724年の間にロンドンで改訂された版(HWV111b)もあります。これもソプラノ用。

You Tubeに乗っかっている音源はかつてCDとして発売されていたようです。
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2004年頃に発行されたというこのCDの中に収録されているのです。おそらくその頃に日本でも輸入・発売されていたと思われますが、見逃していました。
ソプラノのAmanda Pabyanさんはアメリカの人です。どう発音するのか。アクセントが最初に来たら「ペイビャン」でしょうか。もし二つ目にアクセントがあるなら「ペバイアン」とでもなるのですかね。

歌詞の作者は不明です。レチタティーヴォ→アリア→レチタティーヴォ→アリアの編成で、演奏時間は12分39秒。

歌詞大意

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はじめから終わりまで救いのない嘆き節が続きます。しかも最初のうちはなんで嘆いているのか、ということももよくわからない状況なのです。
中小企業の経営者が、運転資金の不足で金策に奔走したけれどうまくいかない、手形の決済期日は迫っている、このままでは不渡り出して倒産は必至だ、債権者に罵詈雑言をあびせられるくらいなら自分でこの命を絶ってしまった方がましだ、そうするにしても普通の最期よりももっと酷い死に方になるだろう・・・と考えているのでは、と受け止めても不自然でないように思えます。

しかし終曲のアリアに至って、Amor(=キューピッド)に言及があるのではじめて、やっぱり愛情関係の話だったか、とわかります。もしビジネス関係ならアモールではなく、メルクリウス(=エルメス)が出てくるはずですから。

わからないと言えば、この歌詞の主人公が、男性であるか女性であるか、も明らかではありません。述べている内容からは明確にできないのです。愛情を向けている相手の性別もわかりません。
ただ、ヘンデル研究の権威であるエレン・T・ハリス女史は、第3曲がアリオーソで終わっているので、この部分などに女性の情熱が反映している、というような意味のことを述べています(末尾に掲げた参考資料)。
もっとも後にロンドンで改訂したヴァージョン(HWV111b)では、アリオーソはやめて、もっと「理性的」なレチタティーヴォで終わるようにされているそうです。

下の絵はイタリアの画家 Filippo LAURI (1623-1694)の作品「Faun and Cupid in a Landscape」。
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森の中でよく寝ているおっさんはフォーン、すなわち牧羊神パンですが、こんな風に熟睡している間にAmorが殺ってしまってくれたらいいのに、と主人公は願っているにちがいありません。



参考資料
 You Tubeに載っていた音源のCDは、
 Amanda Pabyan(ソプラノ)、Magdalena Marding※(チェロ)、Paola Erdas(チェンバロ)
 「Italian Cantatas and German Arias」Callisto Records 403(2004)
 というものです。
 ※チェロのMardingさんの名前の綴りで、aは上に小さな○の付いた、北欧の名前や地名などによくあるヤツ。

 書籍
 ELLEN T. HARRIS「Handel as Orpheus」HARVARD UNIV. PRESS(2001)









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